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EXHIBITION - 写真家 文月ふみ ×ガラス作家 津村里佳 二人展 「うえの ほう」/ 2025.10.12 Sun- 10. 26 Sun

  • 執筆者の写真: HugFor
    HugFor
  • 3 日前
  • 読了時間: 6分

更新日:1 日前





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HUG FOR_.では、2025年10月12日(日)から10月26日(日)まで、写真家 文月ふみ、ガラス作家 津村里佳による二人展「うえの ほう」を開催いたします。本展は、「見上げる」ことから始まります。作品と向き合うとき、自然に顔を上げ、視線が空間へと広がっていく。そこに生まれる静けさと気づきにより、日常の景色を変えていきます。


初日は、ピアニスト 橋本秀幸によるレセプションコンサートを開催します。レセプション会場はHUG FOR_.と異なる音楽ホールカノンハウス鎌倉にて行います。会場には作品の一部を携え、文月と津村がつくる風景に、静謐なピアノの音が優しく寄り添います。


コンサート終了後には、ギャラリーを開放し、文月と津村の作品をご覧いただける、ささやかな夜会を催す構成となっております。物理的な空間の距離を越え、見ることと聴くこと、作品と音楽の余韻が静かに結びつき、心の中でひとつの風景が浮かびあがる、そんな体験をしていただけますと幸いです。皆さまのご来場をお待ちしております。



以下、Statement(略文)




見上げるという行為には、少し不思議な力がある。


うつむいてばかりいた顔を上げると、空がある。


光があり、風があり、雲はゆっくりと形を変え流れてゆく。


それだけのことなのに、なぜか胸のあたりがすっと軽くなることがある。


想像してみてほしい。


日々見過ごしてしまう「上」の空間には、


祈りや願い、感情や記憶のような、目には見えないものが静かに浮かんでいる。


文月ふみの写真には、そんな空の断片が丁寧に封じ込められている。津村里佳のガラスのモビール作品は、重力から解き放たれるように宙を漂い、光と影をまといながら空間に優しいリズムを生み出す。


見上げるというほんの小さな動作が、作品と出会うための心と身体のスイッチとなり、静けさを探すように自身の内側へと導いてくれる。


少し視線を上げ、心は、うえのほうへ。





以下、Statement(全文)




私たちの日常は、いつのまにか「したのほう」へと視線を集めてしまう。


パソコンの画面をのぞき込み、スマートフォンを手のひらに抱え、目の前の仕事や用事に追われると、つい前や下ばかりを見て過ごしてしまう。そんな日々では、世界はどこか平板で手ざわりは均一となり、呼吸さえ浅い。しかし、ふと顔を上げ、空を見上げ息をするとどうだろう。そこには驚くほど大きな空間が広がっている。


光が射し込み、風が通り、雲がゆっくりと形を変えながら流れている。その変化のゆるやかさに触れた瞬間、胸の奥がすっと軽くなるような心地が訪れはしないだろうか。


「うえをみる」という何気ない行為は、ほんの数秒のことかもしれない。だがその短い時間が、日常に余白を与えてくれる。余白は心を休め、また歩き出すための支えとなる。


古代から人間は、空を見上げることで意味を読み取ろうとしてきた。暮らしと空は、常に結びついてきた。

天候を知り、季節を測り、ときに心を鎮める。また星の並びを物語りに変え、暦をつくり、航海の道しるべとした。夜空を見上げることは、自然を理解し、未来を予測しようとする知恵の営みだった。

月は自ら光を持たず、太陽の光を静かに映し返す。その淡い輝きは、ときに安らぎを与え、ときに不安や神秘の象徴ともなった。潮の満ち引きを支配し、農耕の暦を刻み、人々の祭礼や祈りに欠かせない目印であった月は、夜の闇にあって最も身近な天体として、私たちの暮らしと心を深く形づくってきた。


芸術の中にも「うえをみる」という感覚は繰り返し表れてきた。

教会や寺院の天井画、光を透かすステンドグラス、あるいはモビールのように空間に浮かぶ作品。それらは私たちの視線を、上へ、上へと誘導する。そうして見上げる動作そのものが、体験の一部となる。見上げるとき人間の身体は、自然と伸び、胸が開き、呼吸が深くなる。その身体的な変化とともに、心もまた解き放たれる。「空間」と「身体」が結びつくことは、見上げるという行為が持つ普遍的な力の証ではないだろうか。


しかしながら私たち現代人は、いつしか下や前ばかりを見て過ごすようになった。知らぬ間に情報は手元の画面に集中し、都市空間は、建物や広告、歩行者の動線によって視線を低く固定するように設計されている。その結果、空を見上げることは意識的な行為になり、一種の抵抗にすらなるかもしれない。


それでも「うえ」の記憶を思い返してみれば、「見上げる」という動作に私たちはしばしば安寧に近い感覚を体験してきていることに気づくのではないだろうか。


子どもの頃に花火を見上げた夜。

旅先で出会った満天の星空。

気持ちが沈んだ日に月を見上げて深呼吸したあの日。


「うえをみる」ことで、記憶は鮮やかに刻まれていた。それは、上を向く行為が時間の厚みを呼び覚ましてくれるからだろうか。過去や未来に心を伸ばし、自分の存在をより大きな流れの中に位置づける。それが見上げることのもうひとつの力であると思う。


ほんの数秒で構わない。


朝起きた時に空を見る。

出かけるときに雲の流れを確認する。

夜帰るときに月を探す。


それだけで心は、意識は、確かにすっと切り替わるだろう。「うえをみる」ことは、呼吸を整える小さな習慣であり、心を解きほぐす装置であり、そして世界と自分を再びつなぐ儀式へと昇華してゆく。


そう、そのほんの数秒の瞬間に心はほどけ、透明な風が胸の奥を通り抜けてゆくのである。誰のものでもない、誰かに価値づけされることもない大空はどこまでも広がり、過去の記憶も、未来への願いも、すべてを受け止めて漂わせている存在があることに気づく。その中に、自分だけの祈りや言葉にならない感情も、きっと静かに浮かんでは消え、ゆっくりと余韻を残し時間は流れてゆくのだろう。


そして、見上げることで、私たちは日常の流れを一瞬止め、感覚をリセットすることができる。ビルの谷間からのぞく青空や、夕暮れに浮かぶ月を見ることができる。心は世界の広がりに触れ、閉じていた思考がほどけていくことを捉えることができる。


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視線を上げ「うえをみる」ということは、世界とつながり直すことかもしれない。


目の前の限られた世界から視線を広げ、空や光、月の満ち欠けとともに生きてきた人々の記憶、そして時間の流れと自分を結び直すことかもしれない。


見上げた先にある何かと出会ったあなたの心は、もうすでに「うえのほう」へと向かい、ひらかれている。


本展ではぜひ「うえの ほう」にある気配を感じ、見つめ、心をほぐしてていただきたいと思う。









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INFORMATION



アーティスト|文月ふみ , 津村里佳

会期|2025年10月12日(日)– 10月26日(日)

時間|11:30 –18:00

*10月12日(日)のみ21:00まで開廊(夜のギャラリーは1ドリンク制)

休廊日|会期中無休

会場|HUG FOR_.〒248-0014 神奈川県鎌倉市由比ガ浜1-1-29 今小路ビル2F(JR鎌倉駅西口より徒歩5分)



Reception Piano Concert


演奏|橋本秀幸 

日程|2025年10月12日(日)

時間|開場・受付 15:30 / 開演 16:00 / 終演 17:15頃

会場|カノンハウス鎌倉

〒248-0003 神奈川県鎌倉市浄明寺3丁目10-37(鎌倉駅よりバス10分「浄明寺」下車 徒歩1分)

料金|5,500円(税込)・1ドリンク付

予約|ご予約はこちらから   *コンサート終了後は、HUG FOR_.にて夜のギャラリーを開放いたします。




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