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Column#33 - いま、流れのなかにいる— 変わり続けながらその先へ。

  • 20 時間前
  • 読了時間: 5分





9月3日(木)


夏も終わりに近づき始め、最近、HUG FOR_.のこれからについて考えることが増えた。

もうすぐギャラリーとしては4周年を控え、来年は5年目を迎える。これまでとは少し違う景色が見え始めている。


積み重ねてきたものを大切にしながらも、同じ形のまま続けていくのではなく、次の形へ変わっていく時期なのだろうと思う。

とはいえ、考えてみればHUG FOR_.にとって「変わる」ということは、今に始まったことではない。


これまでを振り返ってみても、最初に思い描いていた形が、そのまま今のHUG FOR_.になっているわけではない。人との出会いや、作品との出会い、場所との関わりのなかで、その時々に必要だと思うことを選びながら、少しずつ形を変えてきた。

だからこそ、変化することに対して、どこか自然に感じている自分がいる。


HUG FOR_.には、もともと、そこに在る形を断定的なものにしないという考え方があった。

「こうでなければならない」と決めてしまうことよりも、その時々の状況に合わせて考え直せること。一度決めたことを守り続けることよりも、必要であれば手放し、また新しくつくり直すこと。


固定的であること。絶対的であること。そして、未来永劫つづくことを、最初から目指してはいなかった。一度決めたことを正解として守り続けるよりも、その時々の状況や出会いに合わせて、必要であれば形を変えていく。それは、事業のあり方についても、ギャラリーという場所についても同じだった。


だからHUG FOR_.を始めた当初、こうありたいという思いは描いていたものの、具体的な事業計画や、数年先の姿まで明確に描いていたわけではない。それが可能性を取りこぼすような気もするし、私の性格上、必要ないとわかっていたからだ。


どのくらいの規模にするのか。何を仕事の柱にするのか。5年後、10年後にどんな場所になっているのか。考えれば考える程に、現実的ではなかった。何一つ、実感がないからだ。むしろ私がこれまで歩いてこられたのは、その時々に出会った人や作品、場所や出来事によって、ひとつずつ「実感」を手にしてきたからだった。


実感を手にすると、次にできることが見えてくる。そして、その先には、まだ形のない可能性が生まれていた。可能性というものは、不思議なほど掴めない。まだ起きていないものだから、確かなものとして手にすることはできない。

それでも、目の前にある小さな実感が、まだ見えない可能性へ向かう気持ちを、少しずつ押し上げてくれていた。振り返れば、HUG FOR_.は、未来を決めてから歩いてきたのではなく、歩いた先で未来を見つけてきたのだと思う。


最初は、作家の作品を紹介し、販売することがギャラリーの中心だった。次第に展示を重ねるなかで作家とのつながりが生まれ、お客様との関係ができ、やがて「この場所で作品を紹介できないか」「この空間にアートを取り入れられないか」という相談も増えていった。そこから、ホテルや飲食店、企業など、ギャラリーとは異なる場所で作品を紹介する機会が生まれた。


さまざまなやり取りのなかで改めて感じたのは、アートはギャラリーの中だけにあるものではない、ということだった。人が働く場所、泊まる場所、食事をする場所。誰かと会話をする場所や、ふと一人になる場所。そこに作品があることで、いつもの風景が少し違って見えたり、立ち止まって何かを考える時間が生まれたりする。


作品を「置く」のではなく、その場所にどんな作品が必要なのかを考えるという新たな視点と出会った。

そうしていくうちに、ギャラリーというひとつの形を守ることよりも、アートと人との新しい接点をつくることのほうが、自分にとって大切なのだと気づいた。


これからも様々なやり取りを通して、思考も視点も行動も変わっていくと思う。

これまでと違うことを始めれば、思うようにいかないこともあるだろう。それでも、今あるものを完成形だと思わないこと。「これが最後の形」と決めないこと。その時々に必要なものを選びながら、更新していく。それが、HUG FOR_.にとっての「続ける」ということだ。


最初から決めていたことは、ひとつもない。決める必要がない。変わるのだから決める意味がない。


これからもその時々に訪れる変化を受け入れながら進んでいきたい。

そしてその先へ。


HUG FOR_.がどんな形になっていくのか、私自身もまだわからないが、決まっていない未来だからこそ、楽しみにしているし、楽しみにしていただければ嬉しい。




当コラムは月に1-2回程度、ギャラリーに関連する活動を軸に執筆しています。お気楽にお読みいただけますと幸いです。

文、写真:HUG FOR_. Eriko.O



Eriko OKUYAMA


大学卒業後、民間企業や外郭団体での勤務を経て、2016年からアート業界に転身。主に銀座、六本木、白金台、天王洲など都内の現代アートギャラリーにて展覧会の企画運営マネジメント、プロジェクトマネジメント、アーティストマネジメント、パブリックスペースのアートコーディネーションに従事。ライフワークとしては、芸術の社会的な役割を模索しながら障がいのあるアーティストの展示企画や実践研究に取り組んできました。鎌倉に移住後、地域交流や豊かな自然によって心身と暮らしが満たされていく実感と共に、改めて芸術の在り方そのものを再解釈し、自身とアーティストの自己実現へのチャレンジ、そして人々が真の幸福に向かう思考と体験を共有する場を創りたいという想いのもと、2022年12月にHUG FOR _ . を開業しました。

ギャラリーとして作品を販売し、運営を持続させていくことと、芸術が社会や人に対してどのように貢献し循環させることができるか、事業性と社会性の両輪の視点をもって活動をし続けています。ギャラリーやアートは、暮らしや私たちの内面にとても近い存在であると考えています。難しく考えずにお気軽に足をお運びください。​



 
 
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