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EXHIBITION - Shinichi Ichikawa Photo Exhibition「逃避考」/ 2024.9.14 Sat - 9.29 Sun (Preview:9.4 - 9.11)



HUG FOR_. では、2024年9月14日(土)から9月29日(日)まで、写真家 市川森一 による個展「逃避考」を開催いたします。東京を拠点に活動している市川森一の弊廊で初めての個展では、これまで制作してきたシリーズである「Accumulated Times」「Idle Reverie」「Vortex of Light」「Garbage Patch」を発表いたします。また個展開催に合わせて写真集「Dis/ Association Game」を出版し、ギャラリーでは掲載作品を同時に展示いたします。そして9月4日(水)から9月11日(水)はプレビューとして、市川の代表作でもある「Mistaken Connections」を始めとする過去作品を展示するなど、市川の作品が網羅的にご覧いただける構成となっています。会期中は”yakai”もございますので、鎌倉の秋の始まりと共に展覧会をお楽しみください。皆さまのご来場を心からお待ちしております。




※"yakai"開催の経緯などはギャラリーホームページ Column# 6 にて掲載しております。よろしければ合わせてご覧ください





■アーティスト・ステイトメント  

                            

言い切ってしまうことに、抵抗がある。


例えば「ハンガーは洋服をかけるもの」である。間違いない。でもたまには、孫の手代わりに使えるし、シャボン玉の輪っかにもなる。風に揺れるモビールになるかもしれないし、箪笥の裏に落ち込んで隠れたオブジェをつくる可能性だってある。ハンガーの定義であれ、何かの主義であれ信念であれ、言い切ったことによって零れ落ちる何かは常にあって、ひねくれ者としてはそっちに惹かれてしまう。


ホースにS字フックを突っ込んでみたり、 写真を何百回と折ってみたり、ゴミを拾ってみたり、白い箱を一年間定点観測してみたり。作品がどんな形をとるにせよ、私にとって制作とは大上段から逃げる実践だ。大文字の言葉が放つ光はとにかく眩しくて、惹きつけられる。それでもその明るさを手で遮りながら、暗いぬかるみの上で逡巡する現実逃避の贅沢と勇気を肯定していたいと思っている。




Akihiro Yamaguchi 《Élisabeth》,2017

「Idle Reverie」シリーズ

挟むモノが挟まれて、軽いモノが重くなる。日用品に潜む力関係を替えてみて、普段と違った立場を任せてみる。無理な役回りを割り当てられて彼らはちょっと情けない。無彩色のモノたちは現実には存在しないオブジェとなって、写真の中だけで彼らの世界を生きている気がしている。







「Accumulated_Times」シリーズ

Aというオブジェがあるとする。あなたは6:45にこれを見て 「これはAだ」といい17:09に見てまた「これはAだ」という。でももし、6:45のAと17:09の A を同じ瞬間としてとらえることができる目と脳を持っていたら、世界はどう見えるだろう。

窓際に真っ白な幾何学石膏を置き、自然光の移ろいの中で一日中シャッターを切った。撮れた同じアングルのたくさんの写真を切り貼りして、石膏の各面に異なる時間の写真を合成した。普段何気なく見ているこの世界は、一日の移ろいのなかでこんなにも太陽に染め上げられている。





「Garbage Patch」シリーズ

大都市の路上にはゴミがつきものだ。ペットボトルや折りたたみ傘、レシートやタバコといった定番品から、メガネのツルや麻雀牌みたいなものも見つかる。一日に袋いっぱいにゴミを拾うと決め、それをスタジオに持ち帰り組み合わせて撮影した。偶然その日に落ちていたゴミ同士が組み合わさって、スタジオにある間だけ延命されて彼らの東京を語ってくれる。そしてまた、廃棄されるーーーただし今度は正しい方法で。





「Vortex of Light」シリーズ

なんの変哲もない昔ながらの物置小屋がある。三面採光の10帖程度のスペースは、ほとんど人に立ち入られることもなく、そこにあり続けている。この空き部屋の真ん中に白いボックスを置き、365日間ずっと10分置きにシャッターを切り続けた。合計52560枚の写真を撮影時間に従って並べると、この部屋が経験した一年間の光の渦が出来上がった。






※プレビュー展示作品

「Mistaken Connections」シリーズ

ある人はきれいな身体になりたいと言う。ある人は傷跡を経験として語ってくれる。取り立てて言うことのない「普通の」身体もある。そんな身体や、身体にまつわる考えを価値づけすることなく、人の身体を対等に繋げてみた。出来上がったキメラは、多様でちょっとグロテスクででも魅力的な、くっついては離れる人のあり方を語っているような気がしている。





 

INFORMATION



・市川森一 Shinichi Ichikawa Photo Exhibition「逃避考」

・会期: 2024年9月14日(土) -9月29日(日) ※会期中無休

・開廊時間: 11:30-18:00   

※9月14日(土)、15日(日)、16日(月・祝)は18:00-22:00 ”yakai”開催

ワインやドリンクを飲みながら鑑賞いただけます(1ドリンクオーダー制/予約不要)


  • プレビュー展 「 Mistaken Connections」シリーズ他 展示

・会期: 2024年9月4日(水) -9月11日(水) ※会期中無休

・開廊時間: 11:30-18:00  

※9月6日(金)、7日(土)、8日(日)18:00-22:00 ”yakai”開催

ワインやドリンクを飲みながら鑑賞いただけます(1ドリンクオーダー制/予約不要)


・会場:HUG FOR_.

〒248-0014 神奈川県鎌倉市由比ガ浜1-1-29 今小路ビル 2F (JR /江ノ島電鉄 鎌倉駅西口 徒歩5分)

・ARTIST PROFILE: Shinichi Ichikawa


  • 写真集「Dis/ Association Game」発売

「Dis/ Association Game」シリーズ

カメラマンでいるということは、膨大なボツ写真を生み出し続けることでもある。そんなゴミ箱に入れられた写真たちを改めて見返してみると、それらは本来の文脈から爪弾かれ意味を宙吊りにされて、出自も行き先も分からない迷子のようだ。これらの魅力的なのけもの出自も行き先も分からない迷子のようだ。これらの魅力的な"のけもの"たちで語られるナラティブは、たしかにこの世界の住人たちなのに、日常と違った論理と感覚でこの世界を見る方法を教えてくれる気がする。





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